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睡眠のクオリティを高めるということ

雑記

 たとえば良い布団なり枕なりを買うとするだろう。ぼくはこれまで低反発枕というジャンルを一度たりとも体験したことのない枕から反発され続けた人間だから、Restile低反発プレミアムロングピロー幅120cmブラウンに優しく頭蓋を包み込んでもらえたならきっと幸福感に満ち満ちた就寝を体験できるだろう。amazon民がコスパ高いって言ってるんだからまぁきっと比較的お買い得なんだろうし、買う買わないで言えば買った方がいいのだろう。欲しいものリストには入れよう。

 

Restile 低反発プレミアムロングピロー 幅120cm ブラウン

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 でも一旦、立ち止まって考えてみて欲しいんだ。

 まず軽いストレッチでもして身体を温めて、拘りの寝具の中に入る。何だったらアロマオイルなんてのも焚いてみよう。部屋を暗く静かにして、心配事を頭から追いやれば、きっとすぐに寝付けるはずだ。

 けれど、気持ちがいいのは寝ている間だけだ。布団の中が快適であればあるほど、布団の中以外の世界のすべては相対的に地獄に近づいていく。睡眠のクオリティを高めるということはそのぶんだけ世界を地獄にするということだ。

 

 我々は何のために夜寝るのか? 明日の朝起きるために寝るのである。眠っている間に肉体と精神を半分殺して、明日使うため記憶を脳味噌に定着させ、明日動くため自己治癒力を高めて傷を塞ぐ。布団から這い出た我々の馬車馬としての性能は、数時間前よりもいくらか上等になっている。そうであらなければ目覚めてからの一日を生きることができないからそうなっているのだ。寝ることを語るのは起きることを語るのと同じことだ。死を語ることが生を語ることと同じであるように。我々がいずれ死んで地獄に落ちるために生きているのとまったく同じく、我々は目を覚まして日常生活という地獄へ落ちるために布団に入るのである。遺伝子の乗り物たる我々は進化の末より長く自己複製を続けられるようになった。睡眠は生き続けるための調整で、生き物は本能が必要としているから寝るのだ。

 ――本当に、このままで良いのだろうか?

 かつて人類が火を発明し、暗闇への本能的恐怖を克服したように、避妊の概念を発明し、本能的欲求と理性の妥協点を見つけてあらゆる獣と一線を画したように、睡眠への態度にもまだ「先」があるべきなのではないか? 必要だと本能が言うから寝る。それは本当に人間的な、霊長の生き様であると言えるのだろうか?

 テレビの電源を入れてみよう。深夜にも関わらずアニメなりドラマなり安いバラエティなり通販番組なり何かの再放送なり、人間にしかつくれない「文化」という概念がチャンネルの数だけそこにはある。

 窓から外を見てみよう。闇を切り開く明かりの数は人間だけが成し得た「文明」の力の数だ。未開のジャングルに深夜営業のコンビニはない。

 インターネットを覗いてみよう。ほんの数十年前までどんな空想家ですら思いつけなかったこの空間では、24時間いつでもどこかで誰かが何かをやっている。概ね文字情報で構成されている彼ら彼女らの姿は、もはや肉体を超越し、睡眠への欲求――動物的本能に抗う純粋な人間存在そのものだ!

 断言しよう、人間であればなるべく眠るべきではない!

 豊かな人間的活動に没頭し、粗雑な睡眠を取るのだ。本能に抗うその精神は美しく、布団の中の幸福度を下げれば布団から出ることの不幸度も減る。世界を少しだけ幸福に近づけることができるのだ! 我々の精神によって! 地獄の地獄度を下げて世界を変容させられるのである!

 それは惰眠を貪るだけの愚鈍な生き物には決してなし得ない偉業だ。

「あなたが変われば世界は変わる」……耳にタコだろう。しかし真理だ。大勢が変わればそのぶんだけ世界の変容も広がっていく。変容した世界観が多数派になったとき、それをきっと革命と呼ぶのだ。いずれその日が来るだろう。その日に辿りつくために必要なのは、まずは最初の一日だ。

 ――君の手で、革命を起こしてみたくはないか?

 ぼくは別そんなことはないので寝たいし、この記事もこんなに時間をかけるつもりはなかった。寝る。

 

 

 おやすみ