映画「アフタースクール」感想(ネタバレなし)
昨晩から虚無虚無の虚無の虚無の虚無の虚無なので連チャンで映画を観ている。
母校の中学校で働く人のよい教師・神野(大泉洋)の元に、かつての同級生だと名乗る怪しい探偵・北沢(佐々木蔵之介)が訪ねてくる。
北沢は神野の親友で同じく同級生、現在は一流企業に勤めるサラリーマン・木村(堺雅人)の行方を追っていた。
心ならずも神野は木村探しに巻き込まれてしまう・・・。人を疑うことを知らない男と、人の裏側ばかりを見てきた男。
ちぐはぐコンビの捜査活動から、神野の知らなかった、友人・木村の一面が次々と明らかになり、物語は思いもよらぬ方向へと向かっていく・・・
amazonDVD商品ページより引用
今日観た映画の中では一番楽しかったかもしれない。大泉洋が現代の名優であることをしっかり教えてくれる一作。「どうでしょう」だけの人じゃないんだぞ!
邦画史に詳しくないぼくはたまにこういうお金の代わりにアイディアを費やした映画を観るたび気になるんだけど初期の伊坂幸太郎がこの手の邦画っぽいのかこの手の邦画が初期の伊坂幸太郎っぽいのか。まぁ初期の伊坂幸太郎作品はだいたいこういう雰囲気の邦画になっているので分けて語るのがそもそも無意味なのかもしれんけど。
つまりは「アフタースクール」もそういう映画で、冴えた伏線と憎めない小市民の物語である。
伊坂幸太郎の小説が好きな人は「アフタースクール」も好きになれるだろうし、「アフタースクール」が好きなひとは伊坂幸太郎の小説も好きになれるだろう。
キーパーソンであり物語に厚みに与えるのはやはり大泉洋演じる中学教師。骨子だけ抜き取れば浮世離れしているようにも見えかねない役どころにひとりの人間として肉をつけ説得力を与えている。
この場合の説得力ってのは「こういう人も現実にいそう」という即物的リアリティよりかは「この人ならこうなんだろうな」みたいな受け入れ易さの演出力で、こんなもん生ぬるいファンタジーだと切って捨ててしまえばそれまでだけど大泉洋を始め堺雅人も佐々木蔵之介も「ファンタジー」を嫌味なく表現することのできる役者だよね。まぁそれって一種の文脈の共有というか明確に定義されてないジャンルというか、つまりはやっぱり「この手の邦画」的なアレだ。舞台演劇の延長にある感じのアレ。わかるでしょう?
ド派手な中国資本アクションや人間の暗部を抉るような鋭さはないけれど、「この手の邦画」に求めるもののすべてが平均点を大きく上回って描かれている快作。観終えたあとには爽やかな気分が残ること間違いなし。 鳴滝さんも出演しているぞ!
90分ちょっとで終わるし気軽にどんでん返しを味わうのによいのでは。コツはあまり先読みに本気になり過ぎないこと。真剣に考えた推理が外れると悲しいし虚無以下の虚無だから……
肩の力を抜いて騙される態勢を整えよう。
とっても気分のよい映画でした(虚無)。
虚無……