例えば麻雀は、配牌から戦略を立て、対戦相手と相互に影響し合いながら最適な選択を繰り返すことで勝利の確率を上げるギャンブルです。
ポーカーやブラックジャックのようなトランプゲームの歴史は、表情の読み合いからカウンティングなど反則スレスレのテクニックに至るまで、対戦相手や胴元との化かし合いの歴史でした。
最近流行りの競馬であるとか、競輪や競艇のような公営競技はプロスポーツとしての側面も大きいためか情報量が多すぎて初心者が混乱するくらい。パチスロですら台選びだのハイエナだの、勝利するための生々しい戦略が無数に存在しています。
矛盾しているようですが、実のところ洗練されたギャンブルとは『運に左右される要素をなるべく小さくするために努力する』勝負なんでしょうね。
では、ガチャはどうでしょうか?
ギャンブルとしてのガチャの特徴は、読むべき情報の極端な少なさです。
『このキャラのピックアップです。このレアリティのキャラが排出されるときこの確率で抽選されます。この回数引けば確実にひとつは手に入ります』
以上。
ここには揃えるべき役も、読むべき表情も、信頼すべき選手も、狙うべき釘も、何ひとつ存在しません。
僕たちに出来るのは「続けるか」「引き下がるか」選ぶことだけで、本当に誠実なのかすら分からない確率表示を当てにして十連ガチャを回すかどうかなんて、自分の顔を伺いながら自分の心の声を聴く以外に決める方法はありません。
戦略は存在せず、ただ運と自己判断があるのみ。
故に――ガチャとは、自己との対話なのです。
☆5新キャラが手に入ったから勝利だろうか?
一度に三体引けたから勝ち?これで撤退していいのか?本当に?
己の強運を信じる者だけに掴める栄光……
それが☆6ではないのか?
ピックアップのうち一体を引けただけ。それで終わりか?
本命はリミテッドスカウトの限定キャラではないのか!?
この手をほんの少しだけ伸ばせばロスモンティスに届くのではないか!?
ここで逃げていいのか!?
怯える者に明日は来るのか!?
ウオオオオオオオオオオ!!!!!!!!
ウオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!!!!!
「ガチャは自己対話」というのは「おれが勝ちと思えば勝ち」ということだ。いいな?
おれの勝ちです。
マドロック引けたんだから……
し…知らない素材……