日記:六月五日 カナヘビを見た

 中指くらいのサイズのカナヘビがどこからかトコトコ歩いてきて川沿いの住宅街の狭い道路を横切るのを見た。下水道に降りるつもりかマンホールの蓋の穴に頭を突っ込んで、やっぱり辞めたと言わんばかりに顔を上げてどこかへとトコトコ歩いていった。いやトカゲでもイモリでもヤモリでもなく何故カナヘビだと分かるのか?と聞かれると何の根拠もないが、けれどカナヘビを見たという強い確信が僕の中にはある。川沿いだし両生類のイモリかもしれない。住宅街だし人家を好むヤモリかもしれない。昼間だったし昼行性のトカゲかもしれない。僕に動物の知識がないのは事実だが、この魂がカナヘビを見たと叫んでいるのもまた同じくらいの事実なのだ。

 

おわり