何年もずっと探している本について以前書いたのを覚えているだろうか。自分でも半ば忘れていたのだが、嬉しいことにあやふや文庫というサイトを教えて貰ったので検索してみた。
これやんけ!
という訳で図書館で借りて読んでみた。
UFOに乗ってるのは宇宙人ではなく深刻な環境破壊の末に外皮を借りなくてはまともに活動できない姿に進化してしまった未来人だった。父親は脳死状態で、妻の同意のもとでドナーとして肉体を提供していた……というように記憶とは違った部分も多いのだが、ちょっとした一文をトリガーにして記憶の底から既読感がポコポコ沸き上がってくるのは楽しかった。ゆで卵のくだりに到達した瞬間のテンションの上がり方はプロジェクト・ヘイル・メアリー終盤のそれに匹敵した。
ところで90~00年代のフィクションは環境問題をテーマにした作品が多かった記憶がある。今作も未来への警鐘ド真ん中の、児童書にしては苛烈な作風だった。環境問題を他人事だと捉える人々への怒りがかなりストレートに表現されていて、未来環境へ悪影響の罪で現代の人間が裁判にかけられたりする。今読むとちょっと怯んでしまうかも。まあでも心のどこかに引っかかり続けるパワーは確かにある。
エコブームみたいなのもフィクションの世界では陳腐になってしまったけれど、当時と比較して環境問題が劇的に解決した訳では別にないのだし、現在に住む人々は未来に住む人々への責任がある……というのはもろもろ一周して現代的な話題になっているようにも思う。ともかくも読めてよかった。
おわり
