日記:一月三日

 今日で正月休みも終わり。連休で使い果たしてしまったトイレットペーパーを買いに行く道すがら、目に入った道端の消火栓を、僕は蹴り飛ばして苛立ちをぶつけた。

 僕の抱えるストレスの巨大さに恐れをなしたのか、消火栓は文句のひとつも言わずにすごすごと逃げていく。そして消火栓が塞いでいた穴から勢いよく噴き出した濁流は、東京23区の低地を――庶民が暮らす下町を海の底に沈め、東京湾が昨日よりもいくらか広くなる。水底のワンルームマンションで暮らすことになった僕だけど、着衣水泳は得意じゃないから家では裸族。便所紙なんか溶けてしまって使い物にならないから当然うんこは垂れ流し。僕の尻から出たブツをパクつく魚を見ながら、「トイレットペーパーを買う必要もなくなったな」と苦笑した……ってワケ。

 

 

 

おわり