日記:十月十六日 映画「still dark」を観た

 

still dark

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  • 髙橋雄祐
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 視覚障碍者のユウキ青年がレストランで働く中編映画。おもしろかった。

 

「盲目の青年が料理人として成長していくサクセスストーリー」ではなく「人生のある部分を切り取って眺める」映画で、延々折り重なっていく生活というか死ぬまで続いていく日々の輝かしい部分を掬い取ろうとしているように感じた。

 四十分くらいの短めの尺の中で善性の人物しかカメラに映らないのだけど(特に同僚のケンタは陽キャを極めた太陽のようなナイスガイだ)、リアリティ高めの人物描写が成される作風なのでカメラから排除されただけで嫌なことだって当然沢山あったのだろうと邪推してしまう。

 嫌さだってリアリティと言えばリアリティだが、それを敢えて余分として削ぎ落としているこの映画からは、ままならなさを含めて人生を肯定する賛歌ではなく繰り返すに「人生の輝かしい部分を切り取ってみました、綺麗ですね」みたいなある種のフラットさを感じて、突き放した……とまでは言わないがユウキ青年の人生そのものに対しては客観的な視座から最後まで動かないんだけど、人間に寄り添い過ぎない、エモーショナルに語らない温度感を守っているからこそラスト数分の余韻が強く残る。

 人生って善い部分だけでは決してないんだけど悪い部分にだけ注目するのも嘘だ。こういう映画があるのも善いことではないだろうか。

 

 普段観るタイプの映画ではないのだけれど、僕の好きなコンテンツを褒めている人が褒めていたから観た。こういう体験もまた人生の善い部分か。

 

 

 

おわり